前回の要約
日本尊厳死協会によると、尊厳死とは
傷病により「不治かつ末期」になったときに、自分の意思で、死にゆく過程を引き延ばすだけに過ぎない延命措置をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることです。
(日本尊厳死協会HP 尊厳死とは)
とされています。確かに、治療を尽してなお死が避けられず、余命幾ばくもない時期に、ただ死にゆく過程を引き延ばすだけの治療(人工呼吸器、昇圧薬など)を始めるのは、適切でないように思われます。安らかに死にたい、協会の言を借りれば、尊厳を保ちながら死を迎えたいと願うことは、自然な想いといえるでしょう。その想いを法で保証することは、別段問題あることではなさそうに見えます。尊厳死法制化は次のようにまとめられます。
法制化の内容もおかしなところは認められません。しかし...
ま、まあ確かに
大きなトラブルに巻き込まれたことも
いまとても困っているわけでも
ありませんけど...
だったら法制化しなくても
構わねーだろって言ってんの
だいたいだな、本人が嫌がる治療を
無理やりする医者はいねーだろ
常識的にはよ
ディスカッションを
ストップしてくだサイ
治療中止・不開始について
大きな問題が起った事件を思い出してくだサイ
そうね
最近あった事件といえば
1998年の川崎協同病院事件や2004年の羽幌病院事件
2006年に明るみに出た富山県射水市民病院事件があるわ
そうそう
メディアが大きく取り上げるわ
司法が介入するわで
大騒ぎになったよね
Yes!!
川崎協同病院事件では
主治医が執行猶予付き実刑判決を受けました
羽幌、射水は不起訴処分でしたが、大きな歪みも生じていマス
会田薫子(著)『延命医療と臨床現場』によると
事件後の射水市民病院では、いったん装着した人工呼吸器は
心臓死に至るまで取り外さないことが
基本方針になったのです
尊厳死も何もあったものじゃないわね
言い方は悪いけど
安易というか事なかれ主義というか...
まあそれは仕方ない一面もあるよ
ひとたび司法が介入すれば
メディアで大きく取り上げられて
連日針のむしろだろうしね
そうです!
起訴されて有罪になる事例はまれとはいえ
関係者に与えるストレスは計り知れません
事後、防衛的になるのもうなずけマスね
それもこれも
ルール作りを先延ばしにしてきたツケなのデス
今まで大丈夫だったからというのは
法制化しない理由にならないということだね...
羽幌、射水は不起訴ながら書類送検され
川崎の場合は実刑判決が出ていますよね?
これは司法の先走りで、医療側には問題なかったんですか?
大変goodな質問デス!
ルールがないだけで、医療者に問題がなかった訳ではありません
射水の場合は本人の意思不明の事例が多く
川崎に至っては、人工呼吸器中止後に患者が苦悶したため
筋弛緩薬を用いて呼吸を停止させたのです
脳機能をみる脳波検査すら行われていません
何だかずいぶん乱暴ですね
筋弛緩薬に苦痛緩和効果はありませんから
苦しみながら死んだのかも知れませんよね...
川崎の場合、心肺停止から2週間で人工呼吸が中止されまシタ
回復可能性や生命予後が明らかな段階ではありません
人工呼吸中止時の対応が適切でもない
有罪が妥当かどうかはともかく、医療に問題なしとはいえません
これもルール作り軽視が遠因ですヨ
安らかで尊厳ある死を迎える
司法介入による現場の混乱を防ぐ
ちゃんとした手続きを踏んで治療中止・不開始を行う
そのためにはルール作りが欠かせない
That's right !!
尊厳死法制化は正にルール作りなのデス
んー
ルール作りが大事なのはわかるんだがね
何だか釈然としねーんだよなー
ペテロ先生の説明で
ボクなんかはすっきりしちゃいましたけどね
理解力の差かなハハハ!
どこかの第三極の頭目みたいに
意見コロコロ変えたくせに
よく言うわね
ルール作りの理念と効用はわかる
で
今回、法案が通ればどう運用されるのかと思ってな
つづく
※この物語はフィクションです
管理人のみ閲覧可