不謹慎系フィクション医療ブログ
登場人物
豚児(とんじ)
生真面目な内科医。ヘブンズドアホスピタルの面々に翻弄されるかわいそうな人。
黒金(くろがね)
金髪ガン黒内科医。基本的に根性が悪い。
一方、面倒見が良いとも言われるが...
日野原重明(ひのばるじゅうめい)
ヘブンズホスピタル院長。
"あの人"に似るが全くの別人。
当年100歳の矍鑠たる翁。
座右の銘は"逝きかた下手"
有瀬太(ありせふとし)
モノ忘れ外来担当医。老練な診察は受診者に勇気と希望とをもたらす。
救急部長
明るく鷹揚な人柄で、部下から慕われる救急部のリーダー。無尽蔵の体力で日夜診療に当る好漢だが、困った一面も。
羽田直通(はねだ なおみち)
ヘブンズドアホスピタル内科部長。クセのある部下に悩まされる苦労人。
愛嬌ミチコ(あいきょうみちこ)
マジメで世間知らず、そして愛嬌がウリのテヘペロ女医。大富豪のお嬢様。
田原正直朗(たわらしょうじきろう)
ヘブンズホスピタル外科部長。大変おおらかな性格。真摯な診療態度からついたあだ名はDr. Honesty。信条は「嘘のない医療」
酒井 和民(さかい わたみ)
救急部レジデント。威勢の良さは某居酒屋並み。救急部と居酒屋と、ブラック業種つながりでは決してないんだから勘違いしないでよね!
鬼龍院花子(きりゅういんはなこ)
外来ナース。このご時世にナースキャップ着用を墨守する。笑顔で業界用語を連発する。愛読書は『実話時代』
ブログ内検索
カウンター
前回の要約
尊厳死法の原案は、まとめると以下のようなものでした。
【合法化したいこと】延命措置の不開始・中止
【対象者】終末期にある15歳以上の患者
【要件】任意の決定であること
適切な治療を尽していること
二人以上の医師が判定すること
医師といえど過つ存在です。また人の生命に関わることですから、慎重にことを決しねばなりません。そこで、不治であり死期がちかいことについて、二人以上の医師が判定すべきことが謳われているのです。適切な治療を尽していることも同様です。そして、
このように、医師の判断の独立性に疑念が生じた場合には、
のだと言います。それはもっともな話です。
ですが、
多くの疾患を抱える高齢者は、一つ一つの疾患は重症でなくとも、併せ技で生命を削ることもあります。各疾患ごとに専門医の意見を仰いだとて、目の前の患者さんの回復可能性や余命について、果してよい示唆が得られるでしょうか?またすべての疾患について、片っ端から専門医を受診し、全身精査を進めるのも、現実的とは思えません。かといって、平生の容体をよく知る医師(多くは開業のかかりつけ医)といえど、全ての診療科に通じている訳ではありません。専門分野以外では、適切な治療を尽したかどうか、不確定要素が残ります。
高齢者の尊厳死については、法案の運用を厳密にすると、膨大なコストがかかり、安らかな死を迎えるという趣旨から遠ざかる憾みがあります。逆に法案運用を簡素に済ませば、判断の独立性や専門性が等閑になり、二人以上の医師で確認することが空文化される虞があります。
前回の要約
日本尊厳死協会や尊厳死法制化議連が中心となり、尊厳死法制化を進めています。しかし日常臨床の現場では、法制化されていない今も、看取りに関連して、大きなトラブルに見舞われる事例は少ないように思えます。
というのもうなづけます。しかし、
川崎協同病院事件では、主治医の呼吸器科医に執行猶予付き実刑判決が下っています。司法による訴追は、医療者を不安にさせるだけでなく、終末期医療を大きく歪めてしまいます。
正に羹に懲りて膾を吹く対応です。萎縮医療の典型例ともいえますが、果して医療者側に問題点はなかったのでしょうか?
司法介入による医療者の不安、萎縮医療、そして不適切な手続き・医療処置は、尊厳死のルールがないことに起因すると、彩文=ペテロ=上流医師は言います。尊厳死法制化はこのルール作りであると。ルール作りの意義は理解しながらも、何か釈然としないものを感じた黒金医師は、
前回の要約
日本尊厳死協会によると、尊厳死とは
傷病により「不治かつ末期」になったときに、自分の意思で、死にゆく過程を引き延ばすだけに過ぎない延命措置をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることです。
(日本尊厳死協会HP 尊厳死とは)
とされています。確かに、治療を尽してなお死が避けられず、余命幾ばくもない時期に、ただ死にゆく過程を引き延ばすだけの治療(人工呼吸器、昇圧薬など)を始めるのは、適切でないように思われます。安らかに死にたい、協会の言を借りれば、尊厳を保ちながら死を迎えたいと願うことは、自然な想いといえるでしょう。その想いを法で保証することは、別段問題あることではなさそうに見えます。尊厳死法制化は次のようにまとめられます。
法制化の内容もおかしなところは認められません。しかし...
尊厳死法案、臨時国会への提出目指す
http://www.cabrain.net/news/regist.do;jsessionid=50610378DBC11EEB0AA5268E2D761A66
超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は7日に役員会を開き、今国会への法案の提出を見送り、各党内で引き続き調整を進めた上で、今年秋にも開かれる臨時国会への提出を目指す方針を確認した。議連は7月末の総会で、15歳以上の終末期の患者に対する延命措置について、経管栄養や人工呼吸器の装着など、新たに延命措置を実施しないとする「不開始」を対象とした「第1案」と、現在行われている措置の「中止」も含めた「第2案」をまとめ、今国会への提出に向け、それぞれ党内手続きを進めることを決めた。
(CBニュース2012年9月7日)
・・・・・・。
次のページ
>>